なぜ通信制高校はこんなに増えた?背景を知ると「学校選び」が変わります

通信制高校

通信制高校を調べていると、「こんなにたくさんあるの?」と驚きませんか?

実は、通信制高校の数はこの30年で爆発的に増えました。キャンパス長として、なぜ増えたのかという背景と、そこから見えてくる「学校選びで大切なこと」を解説します。結論を先に言うと、増えたからこそ、学校選びはより慎重になるべきなのです。


通信制高校はどれくらい増えた?【結論】

まず事実から。通信制高校の「数」は、ここ20〜30年で大きく増えました。

ポイントは、生徒数より「学校数」の増え方が激しいことです。特に私立の通信制高校は、1990年代初頭から増え始め、2000年前後から急激に増加しました。一方で、全日制高校の数はほぼ横ばい。つまり、通信制だけが特異なペースで増えてきたのです。

少子化で子どもの数は減っているのに、なぜ通信制だけが増えたのか。ここには、3つの理由が重なっています。


理由①「不登校・中退の子の受け皿」として求められた

一つ目の理由は、全日制が合わなかった子の受け皿としてのニーズです。

新しく通信制高校を作ろうとする団体の多くは、「不登校や高校中退を経験した子を受け入れる場所」として設立を申請してきました。実際、設立の申請書類を調べた研究では、「不登校」を対象に挙げた学校が非常に多かったことがわかっています。

これは学校を認可する側(行政)にとっても、都合がよかった。「通信制は、既存の全日制とは違う生徒を受け入れる。だから競合しない」と判断され、設立が認められやすかったのです。


理由②「定員の制限」を受けなかった

二つ目は、少し専門的ですが大事な理由です。通信制高校は、行政の「定員管理」の対象から外れていました。

わかりやすく言うと——全日制高校は「この地域には何人分の高校が必要か」を行政が調整しています。だから簡単には増やせません。

ところが通信制は、この調整の対象になっていない自治体がほとんどでした。研究によれば、定員調整をしている自治体でも、通信制を対象にしていたのはごくわずか。しかも「なぜ通信制を対象外にするのか」という明確な理由を持っている自治体は、ほぼなかったのです。

つまり、制限がかからなかったから増えやすかった、という側面があります。


理由③「ルールがゆるくなった」(規制緩和)

三つ目が、決定打とも言える理由です。2000年代に、学校を作るためのルールが2回ゆるくなりました。

具体的には——

  • 2004年:必要な先生の人数の基準がゆるくなった(兼任や非常勤の先生もカウントできるように)
  • 2006年:校舎や土地を「自分で所有しなくてもいい」ことに(借りた建物でもOKに)

この緩和によって、今まで学校を持っていなかった会社やNPOでも、通信制高校を作りやすくなったのです。研究では、この規制緩和が2000年代以降の急増に影響したと結論づけています。

通信制高校とサポート校の違いはこちらから


つまり「3つの事情が重なって」増えた

整理すると、通信制高校が増えたのは、こういう構図です。

主役事情
生徒・家庭全日制が合わない子の受け皿が必要だった
学校・経営側少子化でも生徒を確保できる新事業だった
行政・制度定員制限がなく、ルールも緩和された

この3つが、たまたま「不登校・中退の子を受け入れる」という一点で噛み合った。それが、通信制高校が増えた本当の理由です。


キャンパス長の本音「増えたからこそ、選び方が大事」

ここからは、現場にいる私の本音です。

通信制高校が増えたこと自体は、選択肢が広がったという意味で、悪いことではありません。かつては「不登校になったら行き場がない」という時代でしたから、受け皿が増えたのは救いです。

ただ、正直に言うと——急激に増えた分、学校ごとの「質の差」が大きくなっているのも事実です。先生1人が何十人もの生徒を受け持つような、サポートが行き届かない学校が存在するのも現実です。

だからこそ、お伝えしたいのです。「学校が増えた=どこでも安心」ではありません。 数が増えた今だからこそ、一校一校をしっかり見極める目が、これまで以上に大切になっています。

通信制高校の選び方についての記事はこちら


まとめ

  • 通信制高校はこの30年で「学校数」が急増した
  • 理由①不登校・中退の子の受け皿として求められた
  • 理由②行政の定員制限の対象外だった
  • 理由③2000年代の規制緩和で作りやすくなった
  • 増えたことで選択肢は広がったが、学校ごとの質の差も大きくなった
  • だからこそ、学校選びはより慎重に

「数が多くて選べない」と感じたら、それは当然のこと。だからこそ、気になる学校は複数の資料を取り寄せて、サポート体制や雰囲気をしっかり見比べることが大切です。


よくある質問

Q. 通信制高校はなぜこんなに多いのですか?
A. 不登校・中退の子の受け皿として求められたこと、行政の定員制限の対象外だったこと、2000年代の規制緩和で設立しやすくなったこと——この3つが重なったためです。

Q. 通信制高校が増えたのは良いことですか?
A. 選択肢が広がった点では良いことです。ただし急増した分、学校ごとのサポートの質に差が出ているのも事実です。

Q. 学校が多すぎて選べません。どうすれば?
A. まずは2〜5校に絞って資料を取り寄せ、サポート体制や雰囲気を見比べましょう。数が多い今こそ、しっかり比較することが大切です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました